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2026.03.13 blog

第31回日本臨床エンブリオロジスト学会学術大会開催のご報告 (4)

前回の投稿に引き続き、第31回日本臨床エンブリオロジスト学会学術大会の報告の第4弾、最終回として今回は、当院田園都市レディースクリニックあざみ野院の河村寿宏院長が座長を担当した特別講演1:大阪大学大学院医学研究科 生殖遺伝学教授、林 克彦先生が登壇・発表された「in vitro gametogenesisの可能性」についてご紹介いたします。

林先生の研究チームのテーマはIn Vitro Gametogenesis(IVG:体外配偶子形成)、つまり体外で卵子・精子を作ることであり、精巣や卵巣を培養し、そこから精子や卵子を成熟させる実験である器官・組織培養系の研究を続けてこられ、2010年以降、精巣・卵巣組織の体外培養による精子・卵子の獲得に成功しました。組織を器官培養し体外で精子や卵子を獲得できるならば、体の組織・細胞に分化する能力(分化万能性)と、増殖する能力(自己複製能)を併せ持つ細胞である、多能性幹細胞を分化誘導させて精子や卵子、そして精巣や卵巣を作ることができるのではないかという着想を得て、生殖細胞の分化機構の解明と、体外培養による配偶子の産生を試みる研究を継続されています。
林先生チームの研究は多能性細胞から全ての精子や卵子のもとになる細胞(始原生殖細胞)に移行するところが鍵であり、ES細胞やiPS細胞から始原生殖細胞を、ES細胞から卵巣の細胞を誘導・凝集し、卵巣のオルガノイド(試験管の中で幹細胞から作る臓器)を作り、そしてそのオルガノイドから卵子を取り出すことに成功、そしてこの卵子で子マウスの出産にも成功しました。
またマウスES細胞から精巣を誘導し精子を作出することに成功、そしてオスのiPS細胞から卵子を作出し、こちらも子マウス出産に成功しました。
現在は、マウスを対象にした研究報告ですが、この技術がヒトでも発展し医療に応用される日を目指して先生の研究チームは研究を継続されているということでした。
科学の技術は日進月歩に進み、不可能が可能となる世の中です。林先生の研究は先日新聞報道されましたので、ぜひご覧になってください。

ES細胞から精巣作製、大阪大などのチームがマウス実験に成功…不妊治療に役立つ可能性 : 読売新聞

生殖細胞に関わる研究において、2007年にはマウス胚性幹細胞の発見、2006年/2007年にはマウス/ヒトiPS細胞の発見、そして2012年にはiPS研究がノーベル賞を受賞しています。ES細胞やiPS細胞の研究は世界の研究者が注目するトピックスとなっており、世界中の研究者が不可能を可能にするため日々試行錯誤し研究を進めています。今後の生殖医療の進展と展望が広がる可能性が大きく広がる講演でした。
体外で卵子が得られる時代の足音が近づき、林先生の研究に世界中の熱い視線が集まっています。今回、講演の座長を当院院長が担当し、林先生とのご縁が深まる学会となりました。これからも先生の研究に注目し、医療への応用を期待して待ちたいと思います。

監修医師紹介

河村 寿宏 産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医・指導医

河村 寿宏 産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医・指導医

田園都市レディースクリニック 理事長 / あざみ野本院 院長
東京科学大学医学部臨床教授

「不妊に悩む患者さんの望みを叶えてあげたい」という思いをもとに、不妊治療のスペシャリストとして、高度生殖医療の分野で長年尽力。田園都市レディースクリニックでは、患者さま一人ひとりに寄り添いながら、高度な技術と豊富な経験に基づいた不妊治療を提供しています。

田園都市レディースクリニック[あざみ野本院]

所在地
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電話
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[初診予約専用] 045-905-3724
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※本記事の監修に関して、学術的部分のみの監修となります。河村医師が特定の治療法や商品を推奨しているわけではありません。