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2026.02.27 blog

第31回日本臨床エンブリオロジスト学会学術大会開催のご報告 (3)

当院の危機管理体制の構築

前回の投稿に引き続き、当院が主催させていただいた、第31回日本臨床エンブリオロジスト学会学術大会の一部をご紹介したいと思います。
今回のブログでは、シンポジウム3、「培養室の危機管理」で登壇した田園都市レディースクリニックあざみ野院、大村直輝培養室長が発表した「当院の危機管理体制の構築」についてご紹介いたします。

医療機関は、地震、水害、火災といった自然災害の他に、インターネット回線や電話回線などのシャットダウン機器の故障、そして近年話題に上がっている外部からのサイバーアタックなどの人為的災害の脅威に晒されています。
患者様の胚(受精卵)や精子、卵子をお預かりし、凍結保存をする体外受精医療施設では災害リスクを認識した危機管理を行う必要があり、現在、田園都市レディースクリニックにて行っている危機管理対策における様々な取り組みを紹介しました。

① 自然災害に対する危機管理体制

・胚(受精卵)培養を行う培養器を壁や台に固定し、地震の揺れに伴う機器の落下・転倒を防止しています。また、培養器や凍結保存中の胚(受精卵)などを保存するタンクに故障や異常が見られた時に警報メールが送られるシステムを導入し速やかに対応できます。院内には自家発電装置を保有し、停電時に速やかに稼働することで治療の継続が可能になります。また大型液体窒素タンクを保有しており、液体窒素の供給が途絶えた場合でも問題なく胚などの凍結保存を継続することが可能です。

② 人為的災害に対する危機管理体制

・医療機関では個人情報や医療情報といった情報に対する価値が高く、外部機器とネットワークを共有する場合も多いため、医療機関が保有するインターネット環境の脆弱性を突いたサイバー攻撃が急増しています。
当院では電子カルテのネットワークとインターネット回線は完全に隔絶しており、サイバー攻撃のリスクを回避しています。また、USBを介したランサムウェアの不正侵入を防ぐために、電子カルテのPCでは原則USBの使用を控え、電子カルテのバックアップをおこなっています。また、万が一のシステムダウンが発生した場合に備え、電子カルテから紙カルテへの速やかな切り替えを可能としています。

③ 危機管理に対する当院の取り組み

非常時マニュアルを常にアップデートし、常に災害が発生したときに慌てずに対応することが可能な状態を維持しています。また、停電試験と避難訓練、そして毎月の防災点検を行い、疑問点や対応策をスタッフ全員で共有しています。

④ クリニックの建築様式が免震構造

当院は建物自体が免震構造になっており、地震発生時に揺れを大幅に低減することができます。お預かりしている凍結保存中の胚(受精卵)や精子・卵子、そして患者様とスタッフの命を守ることを最優先としたクリニックです。建物の損傷を防ぐことで、災害発生時も継続した治療を行うことが可能となります。
体外受精を行う医療施設として常にリスクを管理し、患者様、凍結胚(受精卵)や卵子や精子、そしてスタッフを守ることを最優先し、非常事態に冷静に対応できる体制を構築することの重要性を強調した発表となりました。

政府は首都圏に直下型の大地震が発生する確率は30年で70%程度であると発表しています。いつ起こるかは予知できませんが、起こることだけは間違いのない事実であると言えるでしょう。30年間起こらないかもしれないし、今日起こるかもしれない。それが首都圏直下型地震です。まさかの事態が起こった時にこそ、日頃の備えが効いてくるものと自負しております。

当院は災害時にも、患者様やお預かりしている凍結胚(受精卵)・卵子・精子をしっかり守るという使命に真摯に向き合い、危機管理体制を構築しております。
患者様の安心・安全を第一に、田園都市レディースクリニックは診療を続けてまいります。

監修医師紹介

河村 寿宏 産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医・指導医

河村 寿宏 産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医・指導医

田園都市レディースクリニック 理事長 / あざみ野本院 院長
東京科学大学医学部臨床教授

「不妊に悩む患者さんの望みを叶えてあげたい」という思いをもとに、不妊治療のスペシャリストとして、高度生殖医療の分野で長年尽力。田園都市レディースクリニックでは、患者さま一人ひとりに寄り添いながら、高度な技術と豊富な経験に基づいた不妊治療を提供しています。

田園都市レディースクリニック[あざみ野本院]

所在地
〒225-0011
横浜市青葉区あざみ野1丁目5-1
電話
[代表] 045-905-5524
[初診予約専用] 045-905-3724
[再診予約専用] 045-905-4895

※本記事の監修に関して、学術的部分のみの監修となります。河村医師が特定の治療法や商品を推奨しているわけではありません。