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2023.10.07 blog

男性年齢と体外受精の成績について

男性の年齢は体外受精の成績に影響するかどうかについて、当院から発表した論文をご紹介させて頂きます。

Impact of paternal age on IVF and pregnancy outcomes with only normal sperm parameters

Taiwanese Journal of Obstetrics & Gynekology 61(2022)

2014年1月から2018年5月までに当院で体外受精を実施した方のうち精液所見が不良な方を除いた1657周期を対象として検討しました。男性および女性の年齢を、35歳未満、35~39歳、40歳以上の群に分け、正常受精と良好胚盤胞率を比較しました。さらに、741周期の凍結胚移植を検討し、妊娠率、生産率、流産率を比較検討しました。

結果は、女性の年齢が35~39歳の群においては、男性の年齢が35~39歳および40歳以上の群よりも、男性の年齢が35歳未満の群で正常受精率が有意に高くなりました。

男性の年齢が40歳以上の群においては、35歳未満および35~39歳の群に比較して、女性の年齢が35歳未満の場合の流産率が有意に高くなりました。

結論として、今回の我々の検討から、男性が高年齢化することにより、女性の年齢が35歳未満の場合に正常受精率が低下し、女性の年齢が35~39歳の場合に凍結胚移植の流産率が上昇することが示唆されました。

 

この結果から女性の年齢が体外受精の成績に大きく影響することは良く知られていますが、男性の年齢も体外受精の成績に影響することが分かりました。女性のみならず、男性も年齢が上昇すると治療成績が低下することを考慮しながら、治療を進めて行くことが必要と言えます。