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ガードナー教授再来訪 ②
前回の記事の後編として、「が―ドナー教授来訪 その②」をお届けします。
体外受精における胚盤胞の評価方法として有名な「ガードナー分類」の生みの親であるガードナー教授を田園都市レディースクリニックにお迎えしました。
日常診療で生じる疑問に対するガードナー教授ご本人の見解をはじめ、さまざまなテーマについて、普段なかなか伺うことのできないお話をお聞きしながら、今後の展望について意見交換を行う時間を持つことができました。
今回、その中でも特に印象に残ったやり取りをご紹介します。
1.ガードナー分類は、どのような目的と経緯で作られたのでしょうか?

ガードナー教授:ガードナー分類は、当初から妊娠率の高い胚を選別することを目的として作成したものではありません。
当時、私たちは胚の代謝に関する研究を行っていました。その研究のなかで、代謝状態が良好な胚と、その胚の形態を撮影した写真とを繰り返し照合し、代謝状態の良い胚に共通する形態学的な特徴を整理しました。それが、後のガードナー分類につながっています。
その後の臨床データから、ガードナー分類で「A」と評価される形態良好胚は、実際に妊娠率も高いことが明らかになりました。
2.ガードナー分類は、今後どのように変化していくとお考えですか?
ガードナー教授:今後、ガードナー分類が具体的にどのような形へ変化するかは、現時点では分かりません。ただし、AI技術が急速に進歩していることは間違いありません。
現在のところ、胚評価においてAIが人間より優れている場面もあれば、胚培養士による判断の方が優れている場面もあります。しかし、10年後にはAIがさらに大きく進歩し、多くの領域で人間の能力を大きく上回る時代が訪れると考えています。

3.胚培養士が胚のグレーディングに迷った場合、評価を上げるべきでしょうか。それとも下げるべきでしょうか?

ガードナー教授:多くの胚培養士が勤務する施設では、評価者によるばらつきを少なくするため、自身の評価と他の胚培養士の評価に差が生じないよう、日頃から基準を調整していると思います。
そのうえで、二つのグレードのどちらにするか迷った場合には、基本的には一段階低いグレードを選択するのがよいと考えます。
4.当院では、AB胚よりもBA胚の方が良好な妊娠成績を示すデータがあります。この結果について、どのようにお考えですか?

ガードナー教授:当初、私たちはAA胚、AB胚、BA胚の順に妊娠率が高く、特に内部細胞塊(ICM)がAであることが重要なのではないかと考えていました。
しかし、田園都市レディースクリニックのデータ(注1)では、AB胚よりもBA胚の方が高い妊娠率を示していました。
私たちの研究チームによる検討でも、BA胚の方がAB胚より妊娠率が高いという結果が得られています。田園都市レディースクリニックの結果も、私たちの検討結果と同様のデータであり、非常に興味深いです。
(注1. 凍結融解単一胚盤胞移植におけるグレードと妊娠成績および妊娠予後の年齢別比較・検討 日本受精着床学会雑誌34(1) 135-142、2017)
5.ICMや栄養外胚葉(TE)をAとB、あるいはBとCのどちらに評価するか迷う場合、どのように判断すればよいでしょうか?
ガードナー教授:現在の顕微鏡は、ガードナー分類を作成した当時と比較して格段に進歩しており、胚の細胞をより詳細に観察できるようになっています。評価に迷った場合には、まず実際に細胞数を数えてみることが一つの方法です。現在の顕微鏡であれば、細胞数をある程度正確に数えることができるはずです。
また、AIを用いて細胞数を計測する方法も考えられます。AIによる客観的な計測を取り入れることで、より正確で再現性の高いグレーディングにつながる可能性があります。
6.ラボの管理には多くの時間を要します。どの程度まで人の手で管理を続けるべきでしょうか?
ガードナー教授:ラボの管理に多くの時間と労力を要することは、十分に理解できます。現在では、ラボ内のさまざまな管理業務にAIや自動化システムが導入されるようになっています。
ただし、現時点では機器やシステムが故障する可能性もあるため、人による確認は依然として必要です。
将来的には、AIを活用した管理システムがさらに発展し、機械が安全かつ確実に実施できる業務については、徐々に機械へ任せるようになるでしょう。人と機械がそれぞれの役割を担い、より効率的で安全なラボ管理へ移行していくと考えています。
7.10年後、20年後のIVFは、どのようになっているとお考えですか?
ガードナー教授:これは、非常に重要なテーマです。
AI技術の進歩により、将来のIVFでは、多くの工程が機械によって実施されるようになると考えています。AIやコンピューターには、人間よりも得意とする領域があり、その領域では、すでに人間の能力を上回っていることも少なくありません。
一方で、人間にしかできないこともあります。したがって、単にAIに置き換えられることを懸念するのではなく、人間自身が、AIを有効に活用できる環境や技術を積極的に開発していくことが重要です。
過去の時代から現在の生殖医療の姿を正確に想像することが困難であったのと同じように、10年後、20年後には、私たちが現在想像することのできないIVFの世界が広がっているのではないかと思います。そして、生殖医療はそのように発展していくべきだと考えています。
今回の訪問と意見交換を通じて、多くの学びと新たな視点を得ることができました。
貴重な時間を共有いただいたガードナー教授に心から感謝申し上げます。
日々の診療に今回の対話を生かし、当院に通われている全ての患者様に、さらに妊娠率にこだわり抜いた治療をお届けできるよう、これからも歩みを進めてまいります。

監修医師紹介
河村 寿宏 産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医・指導医
田園都市レディースクリニック 理事長 / あざみ野本院 院長
東京科学大学医学部臨床教授
「不妊に悩む患者さんの望みを叶えてあげたい」という思いをもとに、不妊治療のスペシャリストとして、高度生殖医療の分野で長年尽力。田園都市レディースクリニックでは、患者さま一人ひとりに寄り添いながら、高度な技術と豊富な経験に基づいた不妊治療を提供しています。
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※本記事の監修に関して、学術的部分のみの監修となります。河村医師が特定の治療法や商品を推奨しているわけではありません。


