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2026.06.06 blog

早期PN消失胚の培養成績と臨床成績の検討

先日開催された第31回日本臨床エンブリオロジスト学会学術大会にて「早期PN消失胚の培養成績と臨床成績の検討」という演題で当院から発表した内容についてご紹介いたします。

以前の「受精の種類」でのブログでもお話ししましたが、私たちは正常に受精しているかどうかを前核(PN;Pronucleus)の数で判断しています。前核とは卵子由来、精子由来の遺伝情報を持った核のことで、それぞれの前核が1つ、合計2つの前核が確認できた状態を正常受精としています。この前核は顕微授精(ICSI:IntraCytoplasmic Sperm Injection)施行から早いものでは4〜5時間程度でそれぞれ出現し始め、20〜23時間後に2つの前核が融合し、消失していきます。この前核が早期に消失する胚は胚盤胞到達時間が速い(Coticchio G et al.,2023)という報告がある一方で、20時間45分以内にPNが消失した胚の出産例はない(Azzarello A et al.,2012)という報告もあり、前核の消失時間については未だ一定の見解を得られておりません。そこで今回、ICSI施行後19時間未満に前核が消失した胚を「早期PN消失胚」と定義し、当院における培養成績と臨床成績を2PN胚(19時間以上の胚)と比較しました。

2019年1月〜2023年12月までに当院で採卵、ICSIを施行した2PN胚24,393個を対象とし、以下の2つの項目について検討しました。

検討1:早期PN消失胚の出現率
検討2:早期PN消失胚の培養成績と臨床成績を2PN胚と比較

検討1の結果です。

  • 早期PN消失胚の出現率は1.1%でした。
  • 妻採卵時年齢において有意な差が認められました。(p<0.05)

検討2の結果です。

  • 第一分割率、Day3良好胚率、Day5良好胚盤胞形成率において早期PN消失胚が2PN胚と比較して有意に高くなりました(P<0.05)。
  • 臨床的妊娠率において有意な差は認めませんでした。

早期PN消失胚は、培養成績が2PN胚と比較して有意に良好胚盤胞到達率が高かったことから発生能が高いことが示唆されました。また、出産例も認められたことから移植胚の対象となりうると考えられます。一方で、生化学的妊娠率、臨床的妊娠率といった臨床成績においては統計学的に有意な差が認められませんでした。

妊娠率の高い移植胚の選択を患者さんができるように今後も症例数を増やし更なる検討を続けていきたいと私達は考えています。

監修医師紹介

河村 寿宏 産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医・指導医

河村 寿宏 産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医・指導医

田園都市レディースクリニック 理事長 / あざみ野本院 院長
東京科学大学医学部臨床教授

「不妊に悩む患者さんの望みを叶えてあげたい」という思いをもとに、不妊治療のスペシャリストとして、高度生殖医療の分野で長年尽力。田園都市レディースクリニックでは、患者さま一人ひとりに寄り添いながら、高度な技術と豊富な経験に基づいた不妊治療を提供しています。

田園都市レディースクリニック[あざみ野本院]

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※本記事の監修に関して、学術的部分のみの監修となります。河村医師が特定の治療法や商品を推奨しているわけではありません。