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2026.04.17 blog

PGT-Aにおいて正倍数性胚が得られるまでの採卵回数の検討

2025年11月にマレーシアのクアラルンプールで開催されました太平洋生殖医学会(PSRM)にて「PGT-Aにおいて正倍数性胚が得られるまでの採卵回数の検討」という演題で、当院から発表いたしました。
2019年12月より日本で大規模なPGT特別臨床研究が開始され、当院も参加いたしました。そして、2023年にPGT特別臨床研究で集まったデータをまとめた論文が発表されました。論文によりますと、特に母体年齢が高い患者においてPGT-A/SR がETあたりの妊娠率を改善し、妊娠あたりの流産率を低下させる可能性があることが示された(図1)一方で、採卵周期の60%以上では正倍数性胚を得ることができなかったと報告されています(図2)(Iwasa et al . 2023)。

図1

妊娠率

流産率

(Iwasa et al . 2023)

図2

(Iwasa et al . 2023)

そこで、我々は田園都市レディースクリニックにおける正倍数性胚が得られるまでの採卵回数について検討を行いました。検討対象は2020年~2023年に当院でPGT-Aを施行した185症例とし、年齢は採卵時の妻年齢をお示ししております。

結果は、
*34歳以下:2回目の採卵までに正倍数性胚が100%得られました。
*35~37歳:2回目までの採卵で正倍数性胚が約84%得られました。
*38~39歳では2回目までの採卵で正倍数性胚が約63%、4回目までで約70%得られました。
*40~42歳では2回目までの採卵で正倍数性胚が約44%、4回目までで約50%得られました。
*43歳以上では2回目までの採卵で正倍数性胚が約11%、5回目までで約16%得られました。(図3)

図3

今回検討した185症例のうち、一度でも正倍数性胚を獲得できた症例は100症例ありました。逆に、一度も正倍数性胚を獲得できなかった症例は85症例で、約90%が40歳以上という結果となりました(図4)。

図4

しかし、正倍数性を一度も得られなかったが、その後「新たに採卵し得られた胚を移植」「PGTを行う前に保存していた胚を移植」「モザイク胚を移植」など治療を継続した結果、正倍数性を一度も得られなかった症例の中で15症例の方々が妊娠・出産されました。

今回の我々の結果では、年齢が若ければ少ない採卵回数で高い確率で正倍数性胚が得られるが、年齢の上昇とともに採卵回数を重ねても正倍数性胚が得られる確率が低下することが示されました。しかし、正倍数性胚を得らなかった場合でも、その後治療を続けることにより、妊娠・分娩に至ったケースがあることから、期待した結果が出なくてもそれであきらめずに、一人一人の状況に合わせて、治療を考えていければと思います。

監修医師紹介

河村 寿宏 産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医・指導医

河村 寿宏 産婦人科専門医・指導医、生殖医療専門医・指導医

田園都市レディースクリニック 理事長 / あざみ野本院 院長
東京科学大学医学部臨床教授

「不妊に悩む患者さんの望みを叶えてあげたい」という思いをもとに、不妊治療のスペシャリストとして、高度生殖医療の分野で長年尽力。田園都市レディースクリニックでは、患者さま一人ひとりに寄り添いながら、高度な技術と豊富な経験に基づいた不妊治療を提供しています。

田園都市レディースクリニック[あざみ野本院]

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※本記事の監修に関して、学術的部分のみの監修となります。河村医師が特定の治療法や商品を推奨しているわけではありません。