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着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の適応が35歳以上の不妊症女性にも拡大
着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)は、体外受精や顕微授精により出来上がった受精卵(胚)の細胞の一部を採取(生検)し、その細胞の染色体数の異常の有無を調べる検査です。
これまで、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の対象は、「体外受精胚移植を繰り返しても妊娠しない」または「流産・死産を繰り返した」場合に限定されていましたが、2025年9月9日に、日本産科婦人科学会から、「女性が高年齢(35歳以上)の不妊症の夫婦」も検査対象とする、との通知がありました。その後2025年10月6日に日本産科婦人科学会より、「新たに検査対象となるご夫婦については検査の実施を開始することが可能」との連絡を受け、当院でも現在、女性年齢が35歳以上の不妊症のご夫婦についてもPGT-Aのご希望があれば、そのメリット、デメリットをご説明させていただき、十分ご理解いただいた上で、実施が可能となりました。
PGT-Aを実施することにより、胚の染色体数の異常の有無が推測でき、染色体異常がある胚は移植からは除き、染色体が正常とみなされた胚のみを胚移植することによって、胚移植あたりの妊娠率が上昇し、妊娠あたりの流産率を低下させることが出来ます。
しかしながら、諸外国からの昨今の報告では、PGT-Aはどの年齢層でも有効というわけではなく、女性年齢が若い場合は、必ずしもその効果があるとは言えず、むしろ出生率が低下する可能性がある一方で、女性年齢が35歳以上になってくると、PGT-Aの有益性が高まる可能性があるとされています。
尚、PGT-Aは、保険適用ではないため、検査する場合はPGT-Aの検査料だけでなく、その周期の排卵誘発剤や採卵、受精、胚培養、凍結等が全て自費となります。
当院では、PGT-Aのご希望がある場合に、当院の遺伝カウンセリング外来で、この検査のメリット、デメリットをご夫婦にご説明させていただいて、検査について十分ご理解していただいた上で、実施するか否かをご判断いただいております。
ご不明な点がございましたら何なりとお気軽にお尋ねください。
監修医師紹介
河村 寿宏 医師・医学博士
田園都市レディースクリニック 理事長 / あざみ野本院 院長
東京医科歯科大学医学部臨床教授
「不妊に悩む患者さんの望みを叶えてあげたい」という思いをもとに、不妊治療のスペシャリストとして、高度生殖医療の分野で長年尽力。田園都市レディースクリニックでは、患者さま一人ひとりに寄り添いながら、高度な技術と豊富な経験に基づいた不妊治療を提供しています。
※本記事の監修に関して、学術的部分のみの監修となります。河村医師が特定の治療法や商品を推奨しているわけではありません。


