不妊の治療 Infertility treatment

不妊症の治療方法 Method of treatment

  • 私たちはご相談いただいたご夫婦の状況(年齢、不妊期間、過去の治療歴、ご夫婦の不妊原因や程度など)に合わせて、最適な治療方法をご提案いたします。そのため、不妊治療は必ずしも画一的にステップアップ法を行うべきではなく、治療の流れは患者様お一人お一人で異なります。

    例えば、年齢が40歳を大きく超えている場合や、精子が非常に少なくタイミング法や人工授精での妊娠は困難である場合などは、タイミング法から人工授精→体外受精、とステップアップするのではなく、早期から体外受精に入る場合もあります。

  • 1 タイミング法

    経腟超音波検査による卵胞や子宮内膜の計測、尿中LH、子宮頚管粘液の状態の観察等により排卵日を推測し、タイミング指導をいたします。

  • 2 薬物療法

    排卵障害がある場合には、薬剤を使用します。
    軽度の排卵障害には、経口の排卵誘発剤から使用し、無効の場合は注射の排卵誘発剤を使用します。
    多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群を予防するため、経腟超音波検査を随時行いながら、慎重に治療を行います。また、プロラクチンが高い場合は、それを正常化する薬剤を使用します。

  • 3 人工授精

    排卵日に合わせて、ご主人に精液を採取していただき、精液を調整して良好な運動精子を集め、子宮内に注入する方法です。子宮内に精子を入れるところまでが「人工」的で、そのあとは自然妊娠と同じです。精子が少ない、運動率が悪い、フーナーテストが不良である、性交障害がある、等の場合に適応となります。当院では良好運動精子をできるだけ多く回収するために、専用の精子調整液を使用して、遠心分離、洗浄濃縮後に人工授精を行っております。人工授精の妊娠率は女性の年齢や精子の状態により大きく異なりますが、1回あたり数%~10数%です。

    人工授精で妊娠した方の9割前後は、人工授精5,6回までに妊娠をされております。特に女性の年齢が高い場合は、回数にこだわらず早めにステップアップを検討する必要があります。

  • 4 体外受精・顕微授精

    体外受精は、特別な針を用いて卵巣から卵子を採取し、体外で精子と受精させ、受精卵を培養しカテーテルを用いて子宮に戻すという治療です。体外受精の適応は、一般不妊治療では妊娠が困難な、卵管性不妊症、男性不妊症、子宮内膜症、免疫性不妊症、原因不明不妊、などがありますが、高年齢の女性やAMHが非常に低い方などは、加齢に伴う卵巣機能の低下などを勘案して、いたずらに無効な治療を繰り返すことなく体外受精胚移植の実施を考慮すべきであるとされています。

    また、体外受精で受精が起こらなかった場合や、体外受精では受精が困難なほど精子の状態が悪い場合には、顕微授精という、細い針を使って卵子の中に精子を1個注入する方法(卵細胞質内精子注入法:ICSI)を用います。