甲状腺と不妊症 Thyroid and Infertility

甲状腺抗体と不妊症・流産

甲状腺抗体(橋本病)と不妊

甲状腺抗体(抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体)は、妊娠可能年齢女性の8-20%にみられます。不妊症で甲状腺抗体の頻度には差がないとする報告もあれば、不妊症では甲状腺抗体保有率が高いという報告もあります。不妊症の中でも原因不明の不妊症の方の場合では、通常に比べ甲状腺抗体が4倍高いと報告されています。

甲状腺抗体が陽性の方での妊娠率の報告をみてみると、甲状腺ホルモンが正常なら甲状腺抗体が陽性でも陰性でも妊娠率に差がないとするものがほとんどです。

甲状腺抗体(橋本病)と流産

甲状腺抗体が陽性の方では、流産率が上がるとする報告と関連がないとする報告と両者が混在しています。しかし多くの報告を総合してみると、甲状腺抗体が陽性の方では甲状腺ホルモンが正常であっても、約2倍流産率が高くなると考えて良さそうです(反復流産のリスクは約4倍)。
甲状腺ホルモンが正常で、甲状腺抗体が陽性の方に対して、甲状腺ホルモンを補充した場合に流産率が低下するかどうかについて調べた大規模な研究結果が2017年と2019年に発表されました。いずれの結果も甲状腺ホルモンを補充しても流産率は減らせないというものでした。現時点では妊娠初期のホルモン異常を見逃さずにしっかり対応することが唯一の対策と考えられます。

当院でのデータ

甲状腺抗体が陽性だと、従来からの体外受精(ふりかけ法、cIVF)では受精率が下がるという報告がありますが、今のところ当院でのデータではそのような傾向はありませんでした。また胚盤胞到達率にも差を認めませんでした(2016年7月からの1年6ヶ月間に当院で初回採卵となった甲状腺ホルモン正常な方から採卵した4483個の卵で解析)。臨床妊娠率や流産率に関しても抗体の有無による違いは現時点ではなさそうでしたが、まだ信頼に値する解析数には達しておりませんので公表は控えさせて頂きます。

当院でのデータ
甲状腺機能亢進症と妊娠・不妊症
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